ふまんだらけのソーシャルレンディング投資

当BLOGは30代会社員の私ふまんだらけがソーシャルレンディングに投資する記録です。座右の銘は、人生億り(おくり)バント。

ソーシャルレンディング業界が直面する2つの失敗

2018年においてソーシャルレンディング業界は記憶に残る1年だった。みんなのクレジット等を除いて、これまで個人投資家はデフォルトを経験したことが無かった。当時の個人投資家は、精一杯の知恵と勇気と、そして幸運をすかざず掴んで利益を積み重ねていた。今から思えばひやりとするほどの奇跡といっていい。その奇跡の演出者達は、その後どうなったのか。数え方によっては数十万人もおり、絞れば数千人もいるだろう。しかしソーシャルレンディングとは、どういうものか。当時本質を見通せていたのは極僅か。これほど、投資でわかりにくいものはない。

 

西側の島国で産声をあげたソーシャルレンディング。かつての宗主国は、今では金融立国としての地位を固め、世界に幅を利かせている。私達が住む東側の辺境の島国に伝わったのは、それから10年ほど後のこと。当時はP2Pと呼ばれる不特定多数の一般投資家から個人の資金需要者へ貸付を行う仕組みであり、今ではFintechの一部と位置づけられている。日本において、個人間の貸付は当初の想定以上にデフォルトが発生した。先頭を走っていたソーシャルレンディング業者の雄、maneoも例外ではなかった。しかし、そこからの立ち直りは目を見張るものがあった。彼らは失敗からの経験を活かして資金需要者を個人ではなく法人へと転換、それ以降はデフォルトの発生が急激に減少した。失敗から学ぶことは最も費用対効果が良いと言うが、当時の彼らは、それを自ら実践していた。

 

ところで失敗には2種類存在する。それは「すでに正しい答えが分かっている失敗」「答えが分からない失敗」だ。案件募集の告知の不備は前者に入るだろう。例えば最近発生したトラストレンディングが元受けと下請けの契約関係を取り違えるケース。一方、後者の「答えが分からない失敗」は恣意的に引き起こすことが多い。例えば、金融庁が自ら指示した「貸付先の匿名化指針」を試して効果の有無を見極める。試してみないと効果は誰にも分らないからだ。だから広範にテストを行う。サンプルを増やすために何度も恣意的に失敗を繰り返す。しかし、どちらの失敗も業界の発展には欠かせない。例えば前者の失敗はヒューマンエラーの改善に繋がるし、後者の失敗は新たな指針の導入を促すからだ。

 

この先私達は、目に見える失敗ばかりを追うのではなく、目に見えない失敗も考慮に入れなければならない時代を迎えている。投資先の複線化と匿名化を拠り所にした結果、多大な損失を被った個人投資家が大勢いる。当然被害が多かった指針を見直せばいい。当然の判断だろう。しかしそれよりも大切なことは、被害が大きすぎて退場してしまった個人投資家が入っていないことを私達は見落としてはいけない。極論を言えば、匿名化等に起因する損失は耐えられるものであり、優先すべきは退場を余儀なくされた個人投資家の失敗の原因の探求が必要である。今回の件で学ぶべき本質は「事業者の選定基準の厳格化及び罰則の見直し」が喫緊で求められている課題だろう。